多くの受験生は、アメリカの大学受験に対して不安を感じていると思います。というのも、学力だけでなくさまざまな面から評価され、基準があいまいだからです。
今回は、ハーバード大学がアジア人の合格基準を厳しくして訴訟された際に公開されたデータをもとに、ハーバード大学が具体的にどのように学生を評価しているのか、どのレベルに達すれば合格率がどのくらいになるのかを詳しく解説していきます!

評価の全体像
出願者のプロファイル(エッセイ、課外活動、成績、推薦状などを含む)は、居住地域や国ごとに担当のアドミッションオフィサー(入試審査官)に割り振られます。それぞれのプロファイルは、1件につき約10分ほどで読まれ、点数とコメントがつけられます。
この初期審査を通過した出願者は、次の段階としてグループでの審査に進みます。
そこでは、審査官たちによってディスカッションが行われ、挙手によって評価が決まります。たとえば、賛成者が一定数以上いれば「合格」、一定数以下なら「不合格」、中間であれば「補欠」と判断されます。こうしたプロセスは、およそ3か月かけて行われます。
今回は、ハーバード大学の評価プロセスの中でも「点0999879数のつけ方」に焦点を当てて解説していきます。
出願者には4つの観点から評価が行われ、それぞれ1〜6のスコアが付けられます。
この4つの観点とは、学業成績・課外活動・スポーツ・人間性です。
このあと、それぞれの評価項目について詳しく説明し、どのようにすれば高得点を取れるのかを紹介していきます。
Academic Rating (成績の評価)
成績についての評価は1〜6のスコアで行われ、1が最も高く、6が最も低い評価となります。以下の表は、それぞれのスコアを与えられた志願者の合格率を示したものです。
与えられた 点数 | 4 | 3 | 2 | 1 |
全体の志願者に対する割合 | 12.4% | 40.6% | 42.3% | 0.5% |
合格率 | 1.0% | 4.2% | 12.4% | 69.2% |
この表を見ると、最高評価の「1」を与えられた志願者の合格率は69.2%と非常に高いことがわかります。しかし、この評価を得るのは極めて難しく、実際に「1」をもらった出願者は全体のわずか0.5%しかいません。単に学校の成績やSATスコアが高いだけでは足りず、数学オリンピックでの受賞や、研究での顕著な貢献など、飛び抜けた実績が求められます。
では、「2」の評価を得るのはどれほど難しいのでしょうか。
目安としては、SATスコアが1450以上、学校の成績がほぼオール5に近いレベルが必要です。また、同じ「2」でも「2+」や「2−」のように細かく分かれており、それによって合格率も変わってきます。
「6」や「5」の評価を受けた場合、合格率は0.1%未満と非常に低く、実質的に合格はほぼ不可能だと考えた方がよいでしょう。
また、留学生の合格はアメリカ国内の出願者よりも難しくなっています。
その中でも、日本は中国・韓国・インドほど競争率は高くないものの、依然として競争の激しい国の一つです。このような背景を考えると、ハーバードに合格するためには、少なくとも「2」以上の評価を得ることが最低条件といえるでしょう。
Extracurricular Rating (課外活動の評価)
課外活動についても、1〜6のスコアで評価され、1が最高点、6が最低点です。
以下の表は、それぞれのスコアを与えられた志願者の合格率を示しています。
与えられた 点数 | 4 | 3 | 2 | 1 |
全体の志願者に対する割合 | 3.2% | 72.0% | 23.8% | 0.3% |
合格率 | 4.0% | 3.8% | 18.1% | 50.6% |
最高評価の「1」をもらった場合、およそ半数が合格していますが、この評価を得るのは非常に難しいことです。
ハーバード大学の説明では、「一つまたは複数の分野で並外れた能力や功績を持つ場合」に与えられるとされていますが、具体的な基準はあいまいで分かりづらいです。実際、「1」を得た出願者は全体のわずか0.3%しかおらず、平均的な課外活動では到底達成できないことがわかります。
この説明から読み取れる重要な点は、複数の分野でそこそこの結果を出すよりも、一つの分野で突出した実績を残すほうが高く評価されるということです。つまり、「質 > 量」が重視されます。
次に「2」の評価についてですが、ハーバード大学は「学級委員長や学校新聞の編集者など、学校や地域に大きく貢献した場合」と説明しています。
しかし、こうした活動は比較的一般的で、多くの出願者が類似の経験を持っています。
もし本当にそれだけで「2」がもらえるのであれば、もっと多くの出願者がこの評価を受けているはずで、実際の割合(23.8%)と矛盾します。したがって、「2」の評価を得るためには、より独自性があり、インパクトの強い課外活動が求められると考えられます。
Athletic Rating (スポーツの評価)
スポーツの評価についても、1〜6のスコアが付けられますが、その意味合いはこれまでの項目とは少し異なります。
- 1:大学のコーチからスカウトされるレベルの実力
- 2:学校の部活動などで強い貢献をしている
- 3:運動に積極的に取り組んでいる
- 4:運動にほとんど、あるいは全く興味がない
- 5:家事やアルバイトなど、他の責任を多く担っていた
- 6:障害などにより運動ができない
ここで重要なのは、スコア「1」を取った志願者の合格率が非常に高く、88%に達していることです。ただし、この評価を得るには、ハーバードのコーチが実際に試合を見てスカウトするなど、特別なケースが多く、実際に「1」を取った志願者は全体の0.9%にすぎません。
一方で、「2」〜「6」については、合格率に大きな差はありません。
そのため、運動にあまり関心がなく「4」の評価になったとしても、特に気にする必要はありません。
Personal Rating (人間性の評価)
人間性の評価についても、同様に1〜6のスコアで判定され、1が最高点、6が最低点です。
以下の表は、それぞれのスコアを与えられた志願者の合格率を示しています。
与えられた 点数 | 4 | 3 | 2 | 1 |
全体の志願者に対する割合 | 0.4% | 78.8% | 20.8% | 0.0% |
合格率 | 0.2% | 2.5% | 25.9% | 64.9% |
この表からわかるように、最高点「1」をもらった志願者の割合は四捨五入すると0.0%で、非常にまれであることがわかります。また、スコアが「4」以下になると合格率がほぼ0%になるため、ハーバード大学は学力だけでなく人格面を非常に重視していることが読み取れます。
人間性の評価は主にエッセイや先生からの推薦状によって判断されるため、推薦状は合否を左右する非常に重要な要素です。
また、裁判の過程で、アジア人であることを理由に人間性の評価が相対的に低くつけられていたことが明らかになり、入学者の人種的多様性を保つためにアジア人の合格者数が抑えられていたと指摘されました。
人間性の評価スコア基準(1〜6):
1:卓越した人格
2:とても好印象な人格。
3:概ね良い人格。
4:やや印象が弱い、または少し未熟さが見られる
5:人格に疑問がある。
6:人格に大きな懸念がある。
なお、近年の裁判では、アジア系出願者に対して人格評価で不利な扱いがされていたとする証言やデータが注目されました。これは、評価基準が曖昧であることを利用して人種的バランスを操作していた可能性が指摘されたものです。こうした背景からも、透明性のある評価基準の重要性が議論されています。
これらの採点基準に基づいた合格率
このように、どれか一つの項目で「1」を取ると、合格率が大幅に上がることが分かります。しかし、それは非常に難しく、ほとんどの人は取れません。では、すべて「2」を取った場合はどうでしょうか。スポーツの評価を除いた三つの評価ですべて「2」を取った場合、合格率は43%となり、こちらもかなり高い数字です。ただし、「2」を取ることも簡単ではなく、すべての項目で高い実績が求められます。
最後に
今回は、ハーバード大学の入学審査の基準を詳しく解説しました。
残念ながら、同じスコアを取ってもアジア人よりも他の人種が優遇されたり、アジア人の評価が意図的に低くされた可能性があることが裁判で指摘されています。そのため、アジア人であり、かつ留学生である日本人にとっては、この記事で紹介した数値よりも合格の難易度が高いと考えられます。
また、最終的な合格率はおよそ3%、留学生に限ると2%以下であり、世界中のトップ層の学生が集まることを踏まえると、「2」を取ること自体が、ハーバード大学が公式に説明するよりもはるかに困難である可能性があります。
この記事では、以下の英語資料を参考にしました。人種による評価の差についても詳しく書かれているので、興味がある方はぜひ目を通してみてください。
What Harvard’s Asian Admissions Lawsuit Reveals About How to Approach College Applications
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